白チャートとは?基礎レベルの特徴と使い方を教育アドバイザーが解説
白チャートとはどんな参考書?
数学の参考書を探すと、必ず目にするのがチャート式です。その中でも白チャートは、学習のスタート地点として選ばれることが多い一冊です。まずは位置づけと特徴を整理します。
数研出版のチャート式シリーズの入り口
白チャートは、数研出版が発行する「チャート式 基礎と演習」シリーズの通称です。チャート式は表紙の色で呼び分ける習慣があり、白のほかに黄、青、赤があります。数学Ⅰ+A、数学Ⅱ+B、数学Ⅲと科目ごとに分かれているので、学校の授業の進度に合わせて選べます。
教育の現場で生徒の相談を受けていると、「何から手をつければいいかわからない」という声をよく聞きます。そんなときに最初に挙げる候補がこの白チャートです。白チャートは、チャート式シリーズのなかで最も基礎寄りの入り口だと覚えておくと、選ぶときに迷いません。
教科書の基本から共通テストの基礎までを支える
白チャートが扱うのは、教科書で習う基本事項と、そこから少し広げた入試の基礎レベルです。難問を数多く解くための本ではなく、公式の意味と使いどころを理解するための本と考えると近いと思います。
たとえば数学Ⅰの二次関数なら、グラフの平行移動や最大値・最小値の求め方を、順を追って確認できます。共通テストの数学Ⅰ・Aで基礎点を取りたい人にとって、土台づくりに向いた内容です。ただし収録内容や構成は改訂で変わることがあるため、購入前に最新版の目次を書店や出版社のサイトで見ておくと安心です。
例題と練習問題で学ぶ基本の構成
チャート式の特徴は、例題を中心に学ぶ構成にあります。まず考え方の要点が示され、次に例題で解法の流れを確認し、最後に練習問題で自分の手を動かします。この流れが単元ごとに繰り返されるので、読むだけで終わらず、解く経験まで積めるところが魅力です。
解説が丁寧なぶん、一つの例題に時間をかけることになります。最初は進みが遅く感じるかもしれません。それでも、基本の型を身につけておくと、後から応用問題に取り組むときの理解の速さが変わってきます。
白チャートと他の色チャートとの違い
チャート式は色によって難易度が変わります。自分に合わない色を選ぶと、解けない問題ばかりで自信をなくしてしまいます。違いを知ったうえで、最初の一冊を選びましょう。
白・黄・青・赤のレベルを比べる
各色の位置づけを、目安として表にまとめました。
| 色 | レベルの目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 白 | 教科書の基本から入試の基礎 | 数学が苦手な人、基礎をやり直したい人 |
| 黄 | 教科書から標準的な入試 | 定期テストと入試の両方を意識する人 |
| 青 | 標準から難関大の入試 | 国公立大や上位私大を目指す人 |
| 赤 | 難関大の入試 | 最難関大の合格を狙う人 |
表のとおり、色が進むほど問題の難しさと量が増えていきます。白が最もやさしく、赤が最も高度という順番です。あくまで目安なので、書店で実際に例題を読み、自分が理解できるレベルかどうかを確かめてください。
黄チャートとの違いは問題の幅
白と黄で迷う人は多いです。大きな違いは、扱う問題の幅と難しさにあります。白チャートは基本事項の理解に重点があり、黄チャートは教科書レベルから標準的な入試問題まで一歩広くカバーします。
数学が得意とは言えない状態で黄チャートを選ぶと、途中で挫折しやすくなります。反対に、定期テストでは点が取れているのに入試を見据えたい場合は、黄から入る手もあります。迷ったら、例題の解説を読んで七割ほど理解できる色を選ぶのがおすすめです。
青チャートへ進むタイミング
白チャートを終えたら、次は黄か青が候補になります。目安は、白チャートの例題を見て解き方を説明できるようになった時点です。解説を見なくても、七割から八割の問題が自力で解けるなら、次の色へ進む準備ができています。
国公立大や上位の私立大を目指すなら、最終的に青チャートに取り組む人が多くなります。一方、中堅の私立大や共通テストの基礎点が目標なら、白チャートを何周も回して完成度を高めるほうが、結果につながるケースもあります。色を上げることより、一冊を使い切ることを優先してください。
白チャートが向いている人と学校・塾での使い方
白チャートは、誰にとっても万能な一冊というわけではありません。向いているのはどんな人か、学校や塾の学びとどう組み合わせるかを具体的に見ていきます。
数学が苦手になりかけている中高生
中学の数学でつまずいたまま高校に進むと、数学Ⅰの最初の単元で苦労することがあります。式の展開や因数分解、一次不等式といった単元で手が止まる人は、白チャートの解説から入ると取り戻しやすくなります。
大切なのは、わからない単元を放置しないことです。苦手の入り口は、たいてい一つ前の単元にあります。白チャートで該当の単元だけを取り出して復習し、できる感覚を取り戻してから先へ進みましょう。
定期テストの得点を安定させたい人
学校の定期テストは、教科書や配布された問題集から出題されることがほとんどです。白チャートの例題は教科書の内容と重なる部分が多く、テスト前の確認にそのまま使えます。
使い方は簡単です。授業で習った単元の例題を、授業の週のうちに解いてみてください。習ってすぐに復習すると、記憶が定着しやすくなります。テスト直前に慌てて詰め込むより、日々の積み重ねのほうが点数は安定します。
塾や予備校の授業と組み合わせる
河合塾、駿台予備学校、東進ハイスクールといった予備校や、個別指導塾に通っている人も、白チャートは活用できます。授業で聞いた内容をその日のうちに白チャートの例題で確かめれば、理解が一段深まります。
授業では先生の説明を聞いて「わかったつもり」になりがちです。自分の手で解き直す場として白チャートを使うと、わかったつもりを、解ける状態に変えることができます。塾から出される課題と二重にならないよう、担当の先生に相談してから取り入れると負担が増えません。
白チャートの効果的な勉強法
同じ参考書でも、使い方次第で伸び方は大きく変わります。ここでは、白チャートの力を引き出す具体的な進め方を紹介します。
例題を読んでから、何も見ずに解き直す
おすすめの流れは次のとおりです。
- 例題の考え方と解答を読んで、解法を理解する
- 解答を閉じて、白紙に自力で再現する
- 練習問題を解いて、定着を確かめる
- 間違えた問題に印をつけて、後日解き直す
この四つの手順のなかで、特に大事なのは二つ目の「自力で再現する」です。読んでわかった状態と、書いて解ける状態は別物です。解答を写すだけの勉強は避け、必ず自分の手で最後まで書くようにしてください。
つまずきやすい単元は時間を多めに配分する
単元によって難しさの感じ方は違います。数学Ⅰでは二次関数、数学Aでは場合の数と確率、数学Ⅱでは三角関数や微分・積分でつまずく人が目立ちます。
こうした単元は、他の単元の倍の時間をかけても構いません。苦手単元に多めに時間を使うことが、全体の点数を底上げする近道です。一周目は全体を最後まで通し、二周目で苦手な単元だけを重点的に回すと、無理なく定着します。
共通テストや大学入試へつなげる
白チャートを二周ほど終えたら、過去問や共通テスト形式の問題集に挑戦してみましょう。基本が身についていれば、問題文の意味を読み取る力が確実に育っています。
目標とする大学によって、その先の道筋は変わります。たとえば日本大学や東洋大学など中堅私大を目指す場合は、白から黄へ進む流れで十分に力がつきます。東京大学や京都大学などの最難関を目指すなら、白で土台を固めた後に青、赤へ進むことになります。白チャートは、どの目標にも共通する土台づくりの一冊です。今日の一問から、始めてみてください。
